ホ・ジノ「八月のクリスマス」レビュー
ホ・ジノ監督の名作映画「八月のクリスマス」。
私がこれまで観た韓国映画の中で、ベスト1にあげたいほどの傑作です。
というか、これこそ長く語り継がれるべき名作映画だと思います。
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『八月のクリスマス』(はちがつのクリスマス)とは、1998年、製作および公開された韓国映画である。
ホ・ジノの初監督作品。
静かな小都市で「草原写真館」を経営する青年のユ・ジョンウォン(ハン・ソッキュ)と、駐車取締員のキム・タリム(シム・ウナ)の静かな愛の物語が描かれる。
2005年、日本で『8月のクリスマス』としてリメイクされている(引用元:ウィキペディア)。
DVD情報⇒八月のクリスマス
最初に確認しておきたいことは、この映画は世界中で乱発されつづけるパターン化した純愛映画とは、
全く異次元の作品であること。
商業的な要素はまったくと言っていいほどなく、
制作者の純粋な制作者魂を最初から最後まで感じられる極めて珍しい秀作です。
さて、気になるのは「八月のクリスマス」というタイトル。
クリスマスは普通は12月ですが、
なぜ、八月なのか?
それについては、ホ・ジノ監督自身が、
インタビューで説明しています。
質問1(男性)
ラストシーンはクリスマスの日だったと思うのですが、なぜこの映画は『8月のクリスマス』というタイトルなのですか?
ホ・ジノ
ラストシーンはクリスマスの日という設定です。クリスマスツリーも画面に出ていたのですが、あまりに小さいのでお気づきにならなかった方も多いと思います。
なぜタイトルが『8月のクリスマス』なのかということについてお答えします。私達は日常生きていく過程において悲しみを感じたり、ある時は笑ったり、そういった相反する2つの感情のぶつかり合いの中で日常を生きていると思います。そういった意味をこめて「8月」という夏の明るいイメージと「クリスマス」という冬のイメージを持つ単語を2つ合わせた時の印象が非常によかったので、これを題名にしてみました。
(引用元:Cinema Korea)
それに、主人公が8月生まれという設定なので、
そのこととも引っ掛けているのでしょうね。
さて、この映画、何から語ったらいいのでしょうか。
語りだしたらきりがないほど、美点にあふれています。
最初に観たときには、
人間の生と死をこれほど静かに描ききった映画はあるだろうか、と感嘆しました。
そして、今回見なおしてみて、思ったのは、
「時間と距離」についてです。
主人公は死も間近にひかえた人間です。
そのために、時間というものを愛おしみます。
過去・現在・未来という時間の流れ、
主人公には未来はほとんど残されていないのだけれど、
満身で時間を感じようとしている姿が美しい。
次に「距離」についてです。
主人公とヒロインとの距離の取り方が微妙ですよね。
窓辺からヒロインを見つめる印象的なシーンがありますが、
この距離、近いようで離れている、遠いようど近しい、
こうした人と人との距離の描き方そのものが映像作品としての格調をかもしだしていました。
ホ・ジノ監督は映像の詩人です。
DVDの画質は悪いのですが、
そんなことが気にならないくらい、
シーンから詩情があふれてくる。
詩的というのと、感傷的というのとは少し違うのですね。
今回再び鑑賞して思ったのは、ただ映像がキレイというだけではなく、
映画という表現形式をたいへん深いところで理解している監督だなぁということでした。
具体的に言いますと、長回しのシーンがけっこうあります。
長回(ながまわ)しというのは、カットせずに長い間カメラを回し続ける映画の技法ことです。
ホ・ジノ監督の場合、
セリフもなく、動きもないまま、人物を撮り続けるのですね。
こういうシーンはよほど描き出すテーマが決まってないと、
また描ききる自信がないと撮れるものではありません。
人物のアクションや会話があれば視聴者はついてきてくれますが、
動きのない長回しは失敗したら悲惨なわけです。
動きや会話がなくても、観るものを引きつけ続けられるシーンが、
「八月のクリスマス」にはいくつもありました。
そんなわけで、ホ・ジノ監督の映画は、
これからも、すべて観てゆきたいと思っています。
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